スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ひでひでた
スポンサー広告  

生命科学の世界へ
どうもお久しぶりです。
 ちょうど2ヶ月ぶりくらいの更新です。友達がちょっとずつブログ更新しているのを見て僕も何か書いてみようかと久々に思い立ちました。実は個人的な日記は折に触れて書いているんですが、まあブログとなると人々の目を多少は気にするから文面にも少しは気を使うし、いざ書き出してみても大して面白くないなと思って記事を消すことも数度あり、結局こんなに間が空くことになってしまいました。
 さて、何から書くか。まずはこれを書いている状況から説明でもしましょうか。今は愛用の Mac を膝に乗せて、WiMax でネット接続しながらキーボードを叩いています。そして使っているエディタは FC2 の標準的なものではなく、OmmWriter という Mac 用のアプリケーションです。
 詳しくは HP をご覧になればわかると思いますが、非常に精神が落ち着いた状態で集中して文面に向かえるように工夫されています。OmmWriter は常に全画面表示され、デフォルトの設定では文章の背景に枯木が数本立った雪原が現れます。キーをタイプすると雨だれのような音が鳴る。まあ桜の季節に何事かと思う方もいらっしゃるかとは思いますが、それでも夜の12時を過ぎた頃に1日をまとめるにはなかなか良い環境です。最近はこのエディタのおかげでついつい長い日記を書いてしまったり。
 WiMax のおかげでネットをする分にはケーブルから解放されているのも良い方向に効いている気はします(光よりは当然遅いので、動画とかを利用する人には向いてないかな。ひょっとしたら首都圏とか大阪のど真ん中にいる人はストレスを感じないかもしれません)。
 長くなりましたが、そんな感じの環境で楽しみつつこれを書いています。この間の記事では京大の博士課程編入試験(鬼畜仕様)を受けたところまで報告してありましたが、これには合格しましたのでご心配なく。東京から京都に引っ越してきた訳ですが、例の痛ましい巨大地震の影響を被ることなく移動できました。移動日が3月11日だったので、これは大変幸運なことでした。
 僕は今月より大学院生命科学研究科の所属になっています。基本的に生命現象に関する実験研究を行う部署であり、大学院として他の研究科から独立してもいます。その分構成員のバックグランドは多様であり、また、国際的な競争力を高めることを重要視しているせいか、外国出身のメンバーもかなり多く所属しています(うちの研究室ではフランス、クウェート、イスラエル、フィリピン、韓国など)。いろんなやつがいて面白いです。前の研究室もなかなか個性的なメンツが集まっていたけれど、今度もやはりキャラが濃い。まあ、こうじゃないとね。
 それで、僕自身のバックグランドはこれまでさんざん書いてきたように物理学なので、先生とかと相談した結果 MD シミュレーションをひとまずやることにしました。現在研究中のあるタンパク質の挙動を実際の細胞内環境を再現するような条件下で調べ、仮説のサポートをするのが仕事です。他研究室で MD をやっていらっしゃる先生に適宜アドバイスをもらいながら研究を進めることになりました。ここ1週間くらいはコンピュータの発注とかをしているところで、今日のやりとりでようやく一段落。今月の終わりにはマシンが届くそうです。
 実験するつもりで来たのにシミュレーションをやるとは何事であるか、というツッコミは当然だと思いますが、これについては相談中です。今後のシミュレーションの感触によって判断することになるかと。一旦シミュレーションを始めると計算結果が出るまで数日とか必要とするだろうとは思うので、その間は1分子測定とか出来たらいいなと若干妄想しております。出来たらいいな、というか、出来るようにするにはどうするかという感じで考えていきたいです。
 実は3月末に、ドイツに向かわれる直前の先輩に実験を教えてもらっていました。サンプルは用意してもらっていたので言ってみれば体験授業的なものでしたが、それでも、蛍光顕微鏡を通して細胞核に蛍光分子が吸い込まれていく様子を実際にこの目で見れたのは素晴らしい経験でした。あれには本当に感動しました。"Seeing is believing" という言葉を思い出さずにはいられないほど。これまでは論文でしか見たことのなかったあの画は、実はこんなに生命を感じさせるものなんだと思いました。
 ……とはいえ、やはり生命は物質から出来ているというのも間違いない訳で、MD によって(どう考えても物質でしかない)タンパク質の詳細な動きを見つつ、実験では生命現象を感じられる何かを観測したいと考えているというわけです。
 どこまで出来るかは今後の努力次第!
スポンサーサイト
ひでひでた
研究   0 0

東京、この2年
お久しぶりです。実に4ヶ月ぶりのブログ更新です。放置している間にいろいろな事がありました。
 まずは修士論文の件。先月末に修論の審査会があり、無事合格になりました。生体分子の挙動に関する数値的な解析を行ったという事になっております。単位は足りているはずだし、審査会で指摘された一点を加筆して提出すれば修士号はいただけそうです。
 東大理物の修士論文審査会は、まず初めに誰でも参加できるオープンセッションが40分ほどあり、その後に審査員の先生のみを対象にしたクローズセッションがあります。20枚ほど用意したスライドを使って随時質問を受け付けるスタイルで発表を行いました。審査員は3人いて、主査である指導教官と副査が2人いらっしゃいます。僕の場合は生物物理の実験とシミュレーションの先生方が副査でした。
 発表会の数日前に行われた研究室セミナーの担当になっていたので、ちょうどよくリハーサルが出来たという感じでした。研究室の方は英語だったのを審査会では日本語にしなきゃいけなかったのが若干煩わしかったです。図の並び替えを改善したり、説明文の言い回しを改善したりで、なかなか苦労しました。まあ何とかなったのでヨシ。
 修論を書いてる最中はホント憂鬱でした。自分がいかに何もしていないか・何も分かっていないかがどんどん露になっていって。理解してないが故に筆が進まない箇所も多く、なけなしの素材を正直に、なるべく文意が正確に伝わるように努力する程度の事しか出来ませんでした。提出の数週間前には現実逃避を繰り返して小説を読みふけるとかしてましたし、相当情けないところが多々あったと思います。この期間に残したメモからはダークサイドが垣間見えています(笑)
 とはいえ、この2年で学んだ事・成長した事が確実に存在すると確認できたのもまた事実です。大学院に入った段階では修論のように長い資料を書く事は出来なかったし(ネタが無く、書き上げる気力も無かった)、実験や理論を眺める事も出来ませんでした。特に生物物理の業界で理論をやるのがどういうことなのか、実際に手を動かしたり実験の先生と議論させていただく中で体得した「何か」があります。まだ自分で理論を組み立て切ることは出来ないけど、それでも足がかりくらいは出来てきてる気がします。テクニカルな部分では確率論を学んだのが良かった。これ無しで今後生きていける気がしません。
 4月以降は京大に帰って実験を始めます。やっぱこの業界で実験が出来ないのはもったいないというか面白くないと思うようになったので、思い切って編入試験を受けます。受験日は今月の16日なのでそろそろ試験勉強始めないとね。英語の試験が2時間、その後面接があります。これはこれで頑張ろう。もう部屋とかも決めちゃってるので失敗したくありません。
 具体的な研究テーマはまだ決まっていませんが、一分子測定を修得して定量的な議論を行うことをひとまずの目標とし、自分で実験をしつつ、理論家とコラボレートしてモデルを作るところまでいきたいと考えています。まあこれはあくまで形式的な事だし、具体的に理解したいシステムが不明確なので今後どうなるのかは分かりませんが。その上、今度の研究室は日常生活からして英語なのでかなり苦労するとは思います。帰京したら友達と理論物理のゼミをやることにしたので、それも含めていろいろ楽しみです。
 生物系の勉強はどれだけしたらいいんだろう。高校生物の教科書読んでるといろいろ発見があってそれはそれで面白いんだけど、やっぱ Essential とかはちゃんと消化しとくべきなのかな。あれはあれで面白いし。この2ヶ月はたぶん最後のモラトリアムです。
ひでひでた
研究   2 0

大陸産の名品
論文読み終わった。というか、読めるところは読んだという方が正しい。8割弱。
 これほど熱中して読んだ論文は初めてだった。生体分子を記述する minimal なモデルが様々な FT といかに関連しているか詳細に述べられている。この理論はまさに僕の理想とする「生物物理の理論」だった。種々の実験事実を説明しつつ、非平衡統計力学的にも豊かな性質を持つモデル。実験事実に通暁し、理論的なバックグラウンドが確実に存在する人々がなした仕事に違いない。以前から追試験している別のモデルとは深さが圧倒的に違うことに愕然とし、また、conclusion に述べられたことに感銘を受けた。
 今回この論文に取り組んで分かったのは、ゆらぎの定理の理解が全く不足している事実だった。確かに Crooks だの Hatano-Sasa だの Speck-Seifert だのは勉強したけれども、では「ゆらぎの定理とは何か」と問われれば一言では答えられない。本質が何なのか分からない。この論文にも「これは一種の FT である」と書かれている部分がいくつかあったけど、いまいちピンとこなかった。今後の課題だ。
 ひとまず何が欠けているのかは分かったので勉強を続けようと思う。これは統計力学の理論的な面でもそうだし、生体分子の実験についても同じだ。実験的に何がどこまで分かっているのか理解が浅過ぎる。
 ここ数日でちょっと成長した気がする。
ひでひでた
研究   0 0

フルペーパー
物理学会で出会った理研の研究者がそれとなく教えてくれた論文に取りかかりきりです。「Mで始まる名前の人の論文が…」ということだったので探すのにちょっと苦労したのですが、そんな事はどうでもよくなるくらい素晴らしい論文でした。掲載誌はPRL。PRLに載っている生物物理関連の仕事は何となく信用できないイメージを持っていたのがすっかり吹き飛ばされてしまいました。
 関連する文献も3,4本読んでようやく流れを掴めるようになってきた気がします。何が自明で何が非自明なのか判断できるようになってきた。まだいくつも疑問点はありますが、基本的な発想は理解しました。1998年くらいから重ねてこられた研究が今回の論文(2007年)でかなり進展した印象です。2004年の別グループによる先行研究では、生体分子を記述する単なるおもちゃだと思われていたもののミクロな基礎づけが行われましたが、これをさらに拡張して実験事実をより良く再現できるようになっただけでなく、非平衡統計力学の文脈で意味がとらえ直されました。
 半年後の2008年に出たフルペーパーを今読んでいるところで、これが終わったら実験の人と相談して違う立場から見たモデルを作ってみるつもりです。
 実は今回がフルペーパー初挑戦なんですが(恥ずかしい)、これはかなり素晴らしいとじわじわ感じているところです。詳細な計算が載っているのも嬉しいけれど、何よりも他の仕事との関連が明確になるのが良いですね。実に良い勉強になります。今日中に読破したいところ。もう時間がないので気合い入れていきます。
ひでひでた
研究   0 0

学会・大阪
物理学会の会場となったのは中百舌鳥にある大阪府立大学です。
100923_154215.jpg
正門を入るとすぐに見えるのが上の写真にある建物。他のいくつかの建物にも赤いラインの入ったものがありました。新鮮なデザインだったので中身もさぞきれいだろうと期待したのが大間違いでしたが…。詳細は省略。
 初日に参加したシンポジウムはタンパク質のゆらぎと機能との関連を調べている人達の集まりで、つまるところ、ある研究プロジェクトの発表会みたいなものです。そこでまず驚いたのが参加者の白髪率。僕は割と早く会場に入ったのですが、その段階ではおよそ5割は白髪だったのではなかろうかと思えるくらいでした。講演者の中には(たしか)東大を退官された先生もいたくらいなので、事実シニアな集団でした。生物物理学会では(整備されたキャンパスとともに)非常に若々しい印象を受けていたこともあり、物理学会は開始早々停滞感を覚えてしまったのでした。
 体育館で行われたポスターセッション、僕の出番は2日目の午後でした。体育館に入ったのなんて何年ぶりだろうか。…知人の話によれば今回のポスターセッションは例年になく盛況だったとのこと。もちろんポスターを貼る壁に囲まれた通路が出来る訳ですが、確かに人で溢れていて通りづらい感じはありました。僕のところにも常に人がおり、ずっと話しっぱなしでした。特に茨城大で非平衡の理論をやっている方、理研で生体分子の実験研究を行っている方からは有益な示唆が得られたので感謝しております。
 今回は二つの学会に参加して、雰囲気とかモチベーションの違いを知る事が出来ました。やはり自分がやりたいのは生物物理なんだな、とは思うのですが、何か歯切れの悪い感覚も残っています。理論をやる、実験をやると分割してしまうことに対する違和感なのかなぁ。まだよくわかりません。まあ何にせよ、学会は自分を相対化するのに良い機会であることは確かなようです。
 今後は11月末にある定量生物の会を目標に研究を進めます。
ひでひでた
研究   3 0

PREV | HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。