スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ひでひでた
スポンサー広告  

サマースクール まとめ2
さて、天然変性タンパク質を研究する上で物理学の出番があるかと言えば、その答えはたぶんイエスです。特にタンパク質のfold-unfold転移については熱力学的な研究がすでに相当さかんに行われていますので、少なくともその延長で何か研究する事は出来ると思います。また、天然変性タンパク質は真核生物に多く、特に核内に豊富に存在する事が知られていますが、核内はかなり高密度なのでcrowding effectが効いている可能性があります。ここまでの話は平衡熱力学の範疇に収まるので果たして非平衡統計がどこまで本質的に絡んでくるのかはわかりません。いずれにしても、今のところ何か具体的な問題として浮かんでくるものは僕の中にはありません。非平衡統計のジェネラルなところだけではなくて、例えばソフトマターを勉強してみるとか、他の関連領域について知る事が必要な気がしました。
 ここまで書いてきた事はかなり構造生物学的な側面が強いです。つまり生命系で重要な役割を果たすタンパク質の構造を理解する事でそれらが果たす機能に関して知見を与えるということで、わりと一分子研究的な雰囲気があるので物理学とも相性がいいのだろうとは思うのですが、では天然変性タンパク質が本質的な役割を果たす現象は何か、という話は今回のスクールでは無かったのが残念でした。確かにアルツハイマー病とか(確か)ナルコレプシーみたいな病気に関与しているという事はちょこっとだけ触れられた気もしますが、本論ではなかったので詳しい事はよくわかりません。シグナル伝達系ではハブ機能を持っている、と言われても具体的ではないし…。
 その意味では10月の頭に横浜で行われる構造エピゲノム研究会の存在を知れたのは良かったです。天然変性タンパク質とどの程度関係のある話が聞けるかは分かりませんが、可能なら参加してみたいです。まあ、あえて天然変性タンパク質の研究を来年からする必要があるのかどうかよく考える必要があるとは思います。
 ひとまず今回のサマースクールでは天然変性タンパク質研究の一側面が概論的に理解できたのが収穫でした。予想通り友達は増えなかったのですが、まあそれは交流する機会がそもそも少なかったのでしょうがないです。いくつか勉強するべき課題も見つかりましたし、残りの半年を来年への架け橋となるように過ごす為のヒントが得られました。参加した価値はありました。
スポンサーサイト
ひでひでた
生物・生物物理学   0 0

サマースクール まとめ1
気温はまだまだ高い日が続いていますが、秋への移行は徐々に進んでいるようです。うちのまわりで盛んに鳴いていたセミは夜になれば静かになり、その代わりにリーンリーンと風流な音が聞こえてくるようになりました。
 17日から18日まで愛知県岡崎市で行われたサマースクールに参加してきました。岡崎市は夜になれば街灯の明かりだけが頼りになるような町で、僕の出身地(田舎)を思い出させるような良いところでした。今回のサマースクールは岡崎統合バイオセンターという国立の研究機関で行われたのですが、研究所は閑静な住宅街に囲まれた高台にあるので確かに研究は捗るかもしれないと思いました。
 今回のテーマは天然変性タンパク質という不思議なタンパク質で、ここ10年ほどで重要な研究対象として認識されるようになってきたものです。タンパク質は特定の立体構造をとることで特定の機能を果たすと考えられてきましたが、この天然変性タンパク質はその名の通り、単独で遊離している状態ではきっちりとした立体構造をとらない部位を含むという顕著な性質を持ちます。そのような部位は熱揺らぎの影響で大きくふらつくためタンパク質の構造を知るための常套手段であった結晶解析を行っても情報は得られず、その業界の人々にはやっかいな存在として知られていたようです。
 1日5時間の講義がありましたが、そのうちのいくつかは天然変性タンパク質の構造に関するものでした。結晶解析との相性が悪いのでNMRが大活躍します。原理的なことはまだ理解していないのですが、NMRを用いるとアミノ酸間の平均的な距離情報が得られるそうです。これは対象が変性領域であっても有効なので天然変性タンパク質の構造を知る上では強力な方法を与えるといえます。ただしアミノ酸の数でいうとせいぜい300程度までの領域くらいしか解析できないらしいので、超分子みたいなでかいやつの構造を明らかにする為にはやはり結晶解析を用いなくてはなりません。NMRに関しては他にもいろいろと話を聞きましたが、総じていえるのは勉強不足だという事です。原理を理解していない、データが読めない、など。これは今後の課題の一つです。
 バイオインフォマティクスの話もありました。スクールに行く前にレビュー論文を2本読んでいったので概要は知っていたのですが、やはりあの研究分野には参入できないと感じました。コンピュータを駆使した分野の一線で活躍している人々がいかにコンピュータに強いかは日々感じているところなので、それを元に考えるといまさら自分には勝ち目が無いと思うし、やはり生ものを見ている訳ではないので今の僕が求めているのとは違う事をやっているように見えます。とはいえ、巨大なデータベースにアクセスして情報を得る程度のことであれば問題なくできると思うし(たぶんそのくらいはウェットの人でも出来る方がいい)、今後もドライな手法を用いている人々の話は積極的に聞くようにしていきたいです。プログラミング自体は楽しい事だしね。
 長くなりそうなので、次のエントリーに続きを書きます。
ひでひでた
生物・生物物理学   0 0

6年前までの生活リズムに戻れるのか
0時に就寝、7時に起きた今日は爽やかな一日でした。とりあえず復帰です。
 午後イチでウィークリーの生物セミナーがあり、午前中はその準備で半ば終了。朝飯と昼ご飯を両方とも食べたのは何日ぶりかという感じでした。セミナーはシグナル伝達とそれに関与する受容体の話で、登場するタンパク質名が多過ぎたせいか参加者のテンションが低かったのが残念でした。もっと関心を引くような話題を用意したり話し方を工夫すれば良かったのでしょうけど、うまくいきませんでした。
 細胞質を泳ぐタンパク質にとって粘性はどのように感じられるか、拡散はどうなるか、というのは物理を学ぶものなら誰でも気になりそうです。最近のPRLに出ていた論文によればE.Coliが持つ染色体はsubdiffuseするとか(ざっと眺めてみるとソフトマターの知識が必要そうだったので放置する予定)。PRLでも生物物理の論文がかなり注目されてきている印象があります。
 それにしてもやっぱシグナルの話題は面白いです。システム生物学を真面目に勉強したい、と思いつつ何もしないまま数ヶ月が経過中。理論物理学者が寄与できる部分がどれくらいあるかはさておき、生物をどう捉えるのか理解する上で大事そうです。
 最近は読みたい論文や読みたい学術書、読みたい小説、読みたい記事がありすぎて身動き取れてません。特に来月のセミナー準備と研究が両立してなくて、うーん、セミナーに関しては集中して取り組む期間が1週間強は必要そうです。秋の学会発表のアブスト提出とセミナーの日がごく近くにあるのがキツさの原因。
 研究の方はまあ進んでいない訳ではなくて、よく出来ていると思われるモデルを元にダイナミクスを数値計算してみたら意外と良くない事が分かったところです。あのモデルは時間スケールが下がりすぎると物理的にあり得ない現象をも記述してしまう(と指摘してくれたのは先輩だけれども)。数値計算を通して実験に対する理解が深まったのは喜ばしい事でした。
 今日発見したナノマシンの創出に関する120ページのレビューはどうするべきか。

 more...

ひでひでた
生物・生物物理学   0 0

業界では有名な本
Essential Cell BiologyEssential Cell Biology
(2009/04)
Bruce AlbertsDennis Bray

商品詳細を見る
を生協で見かけたので買っちゃいました(画像のリンク先はハードカバー版ですが僕のはソフトカバーです。さらにいうと出版社もTaylor & FrancisではなくGarland Scienceです。ほんとどうでもいいことですが)。さすがに高かったけどこれくらいは持っていて損しないので後悔はしてないです。最近は買った本をちゃんと読むようになったので問題ないと思います。
 付属のDVDには掲載されている図とかが収録されているから自分でプレゼンするときに使えるかもしれません。助かります。前の版に比べると表紙がカラフルで楽しいですね。全部読む必要はあるのかなー?
ひでひでた
生物・生物物理学   0 0

いきもの
生物ってすごいなー、と素直に感動しております。
 ヒトに目を向けてみると、まずは個体があって、スケールを下げるにつれて心臓などの器官があり組織が見えるようになり、ついには細胞にいたります。ひとえに細胞とは言っても単に水風船のようなものではありえず、遺伝情報の詰まった細胞核をはじめとしてミトコンドリアやゴルジ体が点在している上、それらの間を縫うように微小管のような繊維があちこちをつないでいます。この上を分子モーターがよたよたと、しかし確実に進んでいくことで細胞内の物質輸送に方向性が出てくるのです。また、細胞が外界の変化に適切に対応できるようにシグナル伝達のネットワークが巧妙に張り巡らされており、これがまさしく生物の生物らしい柔軟さの一面を担っているのです。あまりにもよくできていると言わざるを得ません(もちろんここに書いたことだけでは説明不足でしょうが。でもいいんですそれで)。
 ここまでの話は何もヒトに限ったことではありません。生物の分類は諸説あるのでここではさておき、動物はもちろん、植物やほとんどの微生物に共通しています。ライトアップされた銀杏の木々を見上げるとその美しさについ見とれてしまうのですが、彼らもわれわれとどこかで同じであると考えると不思議であるとともになにがしかの感動を禁じ得ませんでした。
 とはいえやはりヒトとアメーバなどを比べると共通点よりは相違点に注目したくなるのも事実な訳で、僕のライフワークがここらへんの理解に貢献できるような何かになりうるように今後努力したいところです。

 ちなみにいきものがかかり大好きです。
ひでひでた
生物・生物物理学   0 0

PREV | HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。